大阪切手会オークション第43号連載記事紹介(2024.5.20)
本紙の皆様への発送は5月23日頃の予定です。
皆様からご好評頂いている鉄郵訪問収印記第4弾です。今回は播州地方の国鉄消収印記。
記念切手発行初日印を追い求める、まさに鉄郵版局巡り。時刻表を繰りながらいろいろ考えて効率良い予定を立て、狙い通りクリアできたときの充実感は最高でしょう。ユニークな気動車鉄郵車両写真と併せ、お楽しみ頂けると幸いです。
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播州地方 鉄郵印収印記
*これは、昭和55年、大学時代の夏休みに、播州地方を訪問した時の日記です。
鉄郵印は、ふだんは兵庫県の自宅から1時間ほどの大阪駅で、郵便列車の乗務員に直接手渡しをして依頼しているが(記念押印は不可)、本日は夏休みを利用し、この9月末で廃止予定の、播州地方(兵庫県南西部)の珍しいローカル線の郵便列車を訪ねる事にする。
↓路線図。現在は廃線となっている分岐線(鍛冶屋線)も
7月23日(水) 薄曇り。本日は「ふみの日の切手」発売日でもあり、FDC作成も行う。午前中の便がない為、本日最初は、昼すぎの加古川線の加古川西脇間上便となる。この便は、早朝、普通列車に併結されて加古川駅を出発、野村駅(現・西脇市駅。西脇局受渡)より、支線・鍛冶屋線(1990年廃線。営業キロ数13.2km)に入り、終着・鍛冶屋駅(松井庄局受渡)で折り返し上り便となり、昼すぎに加古川駅に戻って来る短い路線である。日付印は、加古川西脇間下、西脇松井庄間下、西脇松井庄間上、加古川西脇間上と同じ日付印軸で、午前中 4回、活字が更植される。
自宅から約2時間半、お昼頃、のどかな加古川線厄神駅(加古川駅より3駅目)に到着。まもなく受渡局・国包郵便局員が郵袋を持って、ホーム先頭あたりに入場、3両編成の上り744D普通列車が到着。先頭が郵便荷物客室合造車・キハユニ15-6、車両の色はピンク1色塗装(首都圏色)。この車両は全国的にも珍しく、加古川気動車区には、あと、キハユニ15-3、15-9型の合計3両の珍車両が在籍。(あとの2両は2色塗装。)
上:一緒に乗り、加古川駅に到着した「加古川西脇間上便」の「キハユニ15-6」。到着後、混雑が収まった頃。赤い台車には、大鉄局加古川駅の文字が見える。
下:姫路駅姫新線ホームで出発を待つ、姫路広島間下ニ(姫新)便。「キユニ18-7」が先頭。(米子鉄道郵便局所掌便)
車両の中ほど1/4の狭い郵便室内には大阪鉄道郵便局姫路分局乗務員3名が乗務。うち、1名は押印台で、何処で差出されたか?ふみの日切手FDCらしいカバーを猛スピードで押印していた。急いで私の分の郵便物を手渡し、同じ車両の客室に乗り込む。隣の郵便室との間の扉は施錠されてないが、当然立入りは禁止。
15分ほどで終着・加古川駅に、13:09到着。そのあとの行動は忙しく、加古川駅から、姫路駅(約20分)へ向かい、ホームで名物駅そばを食べたあと、播但線ホームで出発待ちの姫路和田山間下二(キユニ26-7。和田山行普通列車)へFDCを差出し、再び加古川駅へ戻る。
次の加古川線の14:57発 谷川行 743D普通列車には、加古川谷川間下便が連結され、14時半過ぎに入線。車両は先ほどと同じで、乗務員は別チームであるが、日付印箱は先ほどの加古川西脇間上と同じものを携帯するらしく、A欄C欄を更植するだけで、活字のバラエティはない。
この頃、姫路駅では、東京門司間下五便(こちらは前日印)の発着があるが、差し出すタイミングが合わず。
加谷下便を見送ったあと、再び、姫路駅へ戻るが、播州地方は激しい雷雨となる。
小雨になった頃、姫新線の16:58発 津山行 843D普通列車に連結の姫路広島間下二便(キユニ18-7。所掌は米子鉄郵局で、車両は岡山気動車区所属)を差出し、本日は終わりにする。
この便は9/30で、姫路広島間の東半分の姫路新見間(米子鉄郵、姫新線部分)が鉄道郵便輸送が廃止されるが、西半分の新見広島間(広島鉄郵所掌。芸備線部分)は存続する。当然、姫路広島間という日付印はなくなり、10/1からは、新見広島間という日付印が新設されるが、これも鉄郵の面白いところである。
加古川気動車区は珍郵便荷物車両で注目されていたが、昭和55年10月1日のダイヤ改正で全て廃車となり、鉄郵印も多数廃止された。9月末、上記の便以外に大阪鉄郵局姫路分局所掌の西舞鶴豊岡間4便(宮津線)も含め、兵庫県内発着のローカル線だけでも、18印の鉄郵印が姿を消した。
加古川線の日付印は、20年以上継続使用と思われ、摩耗がはげしく、印影の通り、美印は難しい。参考までに、同時期に大阪鉄道郵便局本局に郵頼した記念押印日付印の印影も掲載しておく。現在、残っている当該便の満月印やエンタイアは、ほとんどが、この予備印で、活字体やリングの摩耗度で明確に判別できる。
上:作成したFDC(抜粋)。下:50円コイル切手は、大阪鉄道郵便局本局へ別途、郵頼した記念押印(予備印)。